過失割合
■過失割合とは
交通事故における過失割合とは、各当事者にどれだけの過失があったのかを、9対1、8対2などの割合により表したものです。
停車中の車への追突事故などのように、過失割合が10対0となる場合もあります。
それぞれの過失を割合として表すことで、損害賠償額の算出を簡便にすることができるのです。
■過失相殺とは
過失割合をもとに、損害賠償額の対当額を相殺することを、過失相殺といいます。
例えば、被害者の方に100万円分の損害があり、加害者の損害はなかった場合、過失割合が10対0であれば全額を加害者に損害賠償として支払ってもらうことができますが、8対2であれば、80万円分しか支払ってもらうことができません。
より複雑なケースも計算してみましょう。
ここでは、被害者に200万円、加害者に100万円の損害があった場合で、過失割合が8対2のときを想定します。
このとき、被害者は、加害者の損害100万円の2割にあたる20万円を負担することになります。一方加害者は、被害者の損害200万円のうち8割にあたる160万円を負担します。整理すると、被害者から加害者へ20万円、加害者から被害者へ160万円が支払わなければならないで、差し引きすると加害者から被害者へ140万円が支払われることになるのです。
ここでいう損害額には、慰謝料のほか、後遺障害についての慰謝料や逸失利益も含まれ、合計額が過失相殺の対象となります。
後遺障害とは、交通事故による後遺症のなかでも自動車損害賠償保障法施行令に定められた1級から14級までの等級のいずれかに該当すると認定を受けたものをさします。後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害についての慰謝料や逸失利益についても請求することが認められます。
後遺障害等級の認定は、医師の後遺障害診断書などをもとに、損害保険料率算出機構が行っています。
後遺障害についての慰謝料や逸失利益は非常に高額になるケースも多いため、過失割合について慎重に交渉しなければ、過失相殺により大幅な減額をされる可能性があります。
■過失割合を決定するのはだれか
だれが過失割合を決定しているのかということについて、警察が決定していると考えている方も多くいます。しかし、これは間違いです。
過失割合は、当事者の損害賠償に関する問題であり、つまるところ民事上の問題です。警察には民事不介入の原則があるため、過失割合の決定を行うことはないのです。ただし、過失割合を決定する際に重要な書類である事故の実況見分調書や事故証明書の作成などは警察が行っています。
実際の過失割合の決定は主に保険会社が行っています。多くの方が任意保険に加入されていることもあり、保険会社同士で過失割合についてやり取りするケースは多く、事故から一定の期間がたって突然通知された過失割合に納得できない方も少なくありません。
ただし、保険会社が一方的に過失割合を決めることができるわけではありません。
過失割合に納得できない場合は、十分な証拠をもとに交渉することで、適切な過失割合とすることが可能です。
しろくま法律事務所では、過失割合をはじめとして、交通事故に関するさまざまなご相談を受け付けております。
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